AID POLICY / GOVERNANCE援助政策・ガバナンス

課題認識

2014年に60周年を迎えた日本のODA。この間、開発援助の国際潮流や日本の役割は大きく変化してきました。2015年には、開発協力大綱が12年ぶりに改定され、2030年を目標とした「持続可能な開発目標」(SDGs)が国連で採択されました。援助国政府と被援助国という従来型の関係でなく、先進国と開発途上国の対等なパートナーシップに基づく相互協力、そして民間部門や地方自治体も含めた協力をいかに推進するかが問われています。一国の制度整備・運営を支援するガバナンス分野の協力も、引き続き重要です。日本がG7議長国を務め開発協力大綱が改定される2023年、これまでの協力を振り返り、今後の開発協力の在り方を考える重要性が高まっています。

IDCJの強み

「開発の理論と現場をつなぐ」-IDCJは日本初の開発・国際協力分野専門の総合的なシンクタンクとして、新しい援助潮流に対応するパイオニアの役割を担ってきました。例えば、援助協調についてタンザニアを中心に援助の現場で得た知見を15年以上にわたり発信し続け、インドネシアではJICAのSDGs支援第1号案件を実施しました。各国の援助動向調査や、日本の過去の協力を総括する調査(ベトナム、マレーシア等)も、多数行ってきました。

ガバナンス分野では、行政能力強化、公共財政管理などに取り組んできたほか、平和構築、ジェンダー主流化の分野でも豊富な活動実績があります。

主な実績

インドネシア国「持続可能な開発目標(SDGs)実施体制強化プロジェクト」(JICA委託)

2015年9月の国連持続可能な開発サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)」では、各国は、17の目標(ゴール)と169のターゲット達成のため、行動計画を策定し、進捗状況をモニタリングすることが求められています。2017年のインドネシア政府の発表によれば、SDGsの241のグローバル指標のうち、①国内指標の設定が可能な指標は85、②代替指標候補がある指標は76、③未確定指標は75、④インドネシアには関連しない指標は5でした。つまり当時インドネシア政府が対応できる指標は約36%であり、残りの指標(②及び③)への対応を検討することが必要となっていました。インドネシア政府は2017年7月に公布したSDGs実施に関する大統領令において、①国内指標の設定、②指標達成のための行動計画策定、③モニタリング・評価体制の構築を推進する方針を示し、国家開発企画庁(BAPPENAS)はこれを実現すべく、SDGs実施に向けた取組を進めてきました。

IDCJは、JICAの委託を受け、2017年からインドネシア政府のSDGsへの取組を支援する調査を実施しSDGsのターゲット・指標設定や行動計画策定・モニタリングを支援しました。本プロジェクトでは、同調査で得た課題・教訓を踏まえて、1)インドネシア政府によるSDGs国内指標の定義及び計測方法の確立、2)中央政府及び5つの対象州政府によるSDGs実施のための行動計画策定、3)中央政府及び対象州政府によるSDGsのモニタリング・評価の実施・報告、4)SDGs実施の取組に関する相互学習(現地セミナー)の実施を行いました。

アチェ州地方開発企画庁(BAPPEDA)でのSDGs地方行動計画の策定及びモニタリング・評価支援

東ティモール国「日本のODA事業の足跡に関する情報収集・確認調査」(JICA委託)

日本の東ティモール国への開発協力は、2002年5月に同国が独立する前の1999年から行われており、同国にとって日本は、約20年の歴史があるODA供与国です。本調査は、同国に対するODA事業等(JICA及び外務省事業を含む)を振り返り、それらの協力の成果・インパクトを確認・整理し、東ティモールの社会・経済発展への貢献度合いを明らかにすること、対東ティモールODA事業等全体の成果を取りまとめ、対外的に発信すること、今後の東ティモールへのODA事業等の協力の方向性について示唆を提示すること目的に実施しています。

これまでIDCJは、ベトナム、マレーシア、インドネシアにおいても同様の調査を実施しました。

現地調査で訪れた、JOCVの派遣実績のある聖心ベコラ小学校・高等学校
現地調査で訪れた、JOCVの派遣実績のある聖心ベコラ小学校・高等学校
東ティモールへのJOCV派遣は2010年から始まり、2021年までに合計116名が派遣されています

タンザニア国「地方行政機能強化支援情報収集・確認調査」(JICA委託)

タンザニアは1996年から地方分権化政策を進めており、2000年以降、同政策の実行計画にあたる地方政府改革プログラム(Local Government Reform Programme(LGRP)2000-2008およびLGRP2(2010-2014)を実施しました。また同政策の一環として、2001年よりタンザニア独自の参加型計画策定手法であるO&OD(Opportunity and Obstacles to Development)手法の全自治体への導入を図ってきました。JICAはこれに対し、「地方行政改革支援プログラム」として地方行政支援を15年以上にわたり続け、個別専門家、貧困削減戦略支援無償、国別研修・地域別研修、国内研修、技術協力プロジェクトなど様々なスキームを用いて支援が実施されました。

他方、タンザニア政府は第二次5か年開発計画(2016/17~2021/22年度)でこれまでの地方分権化が不十分かつ不適切であったとして地方自治体の機能強化を求めるなか、中央政府と地方政府の役割変更など体制の見直しを続け、なかでも2017年より地方交付金を停止するなど、地方行政システムの見直しを通して中央政府の関与を強化する動きを見せていました。

本調査では、O&ODプロジェクトフェーズ2が終了するにあたり、地方分権化分野における長期かつ多岐にわたる支援について、地方行政改革支援プログラムのこれまでの投入および成果を関係者へのヒアリング等を通じてレビューし、今後の課題や教訓を整理しました。

コミュニティ参加型計画策定手法で建設中の学校
コミュニティ参加型計画策定手法で建設中の学校

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