SOCIAL DEVELOPMENT社会開発

課題認識

教育や保健等「人づくり」の基盤を担う分野は、持続的な開発に欠かせないコンポーネントです。教育分野では、アクセス改善のみならず、学びの質の向上や産業人材・科学技術イノベーション人材育成への取組が重要度を増しています。保健分野では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成に向けた保健システムの強化に重点が置かれており、その実現に貢献する母子保健や感染症・非感染性疾患対策等、健康課題別の対策強化も引き続き重要な取組となっています。また、「誰一人取り残さない」開発を目指し、社会的弱者を保護しインクルーシブな社会づくりを行うことも社会開発の主要な焦点の一つです。

IDCJの強み

教育分野では、学校運営改善やインクルーシブ教育促進等のより学校現場に近い案件から、カリキュラム・教科書改訂、産業人材育成まで、教育の質の向上に資する案件を幅広く実施しています。また、情報収集確認調査や政策評価等、教育政策や援助方針に関わる調査実績が多いことも特徴です。保健分野では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成促進、保健サービス提供体制強化、感染症・非感染性疾患対策強化や栄養改善等、幅広い分野において技術協力や調査・評価業務を行っています。社会保障や社会的弱者の保護に関しても、民間企業と連携した調査等を通じ、積極的に取り組んでいます。

主な実績

スリランカ国「インクルーシブ教育アプローチを通じた特別なニーズのある子どもの教育強化プロジェクト」(JICA委託)

スリランカでは、1970年代から障害児の公教育への統合を進め、2003年には障害に関する国家方針を制定し、障害者の社会への平等な参加と包摂を推進してきました。この一環として、通常学校の1割に、障害児が通常学級へ移行するための準備教育的な位置づけの「特別教育ユニット(以下、SEU)」が設置され、最終的にはすべての子どもが通常学級で学ぶことが目指されています。しかし、さまざまな理由で就学できない障害児も多く、またSEUから通常学級への移行や、SEUと通常学級との交流も必ずしも多くないのが実情です。加えて、障害のある児童生徒の学びを支える環境整備および合理的配慮の提供にも改善の余地があります。

こうした状況を踏まえ、本プロジェクトではスリランカ型のインクルーシブ教育モデルを確立すべく、西部州コロンボ県及び北西部州クルネガラ県を対象に、SEUをもつ公立校からパイロット校を選定し、活動を行っています。具体的には、就学支援体制の構築のための就学支援委員会の設置・運営、教員の指導力向上に向けた、障害のある児童生徒のための指導教材の作成やインクルーシブ教育アプローチに関する研修の実施などを行います。これらの活動よりインクルーシブ教育アプローチの優良事例を収集し、実践事例集を作成します。

教室での学びあい

エチオピア国科学技術のための算数・数学理解プロジェクト(JICA委託)

エチオピアでは現行のカリキュラム及び教科書を全て見直し、改訂する作業を2019年から進めています。1年生から12年生までの全学年、しかも全教科について行なう大事業です。そのうち算数・数学に関するカリキュラム・教科書の改訂を技術的に支援するためのプロジェクトがこの「エチオピア国科学技術のための算数・数学理解プロジェクト」です。2019年に始まった当初はカリキュラムの改訂案と新教科書、そしてそれに基づく教員用指導書の一式を作成する計画でしたが、2020年にあった教育省の方針変更により、それら一連の改訂作業の「質を保証」することがプロジェクトの目的に変わりました。
エチオピアの算数・数学教育は、途上国によく見られるように、穴だらけのカリキュラムと難しい教科書によるもので、生徒の成績は芳しくありません。その欠点を直し、生徒に使い易く分かり易い教科書を使って算数・数学の成績が少しでもよくなるよう、エチオピアの多くの関係者と一緒に努力を重ねています。

時計の絵を描く女子児童

ミャンマー国「農村地域基礎保健サービス強化プロジェクト」(JICA委託)

ミャンマーでは、他の東南アジア諸国と比較して妊産婦死亡率や新生児死亡率が高く、「母子保健」への対策が引き続き求められています。また、近年では生活習慣病などの「非感染性疾患」の予防や対策も喫緊の課題となっています。こうした多角的な保健課題への取り組み方として、すべての年齢層のニーズに応じた切れ目のない保健医療サービスを提供することで生涯を通じた健康を実現する、「ライフコース・アプローチ」の観点が世界的に重視されています。しかし、ミャンマーの保健医療最前線で基礎保健サービスを提供する地域保健センターや地域補助保健センターでは、保健人材不足やサービスの質の不足などの課題を抱えています。また、サービスを受ける側の住民も、経済的な理由や施設までの道路などのインフラの未整備、保健知識の不足や保健施設への不信感などが重なり、積極的に保健医療サービスを利用しない状況がみられます。
このような背景のもと、本プロジェクトでは、保健課題の顕著なマグウェイ地域を対象に、「ライフコース・アプローチ」の観点から、基礎保健サービスの運営能力・サービス提供能力の強化を支援しています。具体的には、地域保健センター及び地域補助保健センターにおいて、施設分娩や助産師による分娩介助、新生児ケアの推進、成長モニタリング促進、高血圧・糖尿病の検査を推進し、様々な年齢層の住民が積極的にサービスを利用することを目指しています。また、住民たちが保健課題を自分たちの問題と意識し、保健活動に主体的に参加するコミュニティづくりを後押しするため、保健ボランティアの強化や住民たちによるコミュニティ保健活動計画の作成支援を推進しています。そして、最終的に、本プロジェクトの成果を取りまとめ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ実現にむけてミャンマー保健スポーツ省が推進する「国家保健計画(2017-2021)」の実施や今後の政策・事業に活かしていくことを目指しています。

タウンシップ保健局における基礎保健スタッフとのワークショップ

その他実績

教育

保健

社会保障

援助・国際協力

株式会社 国際開発センター