RURAL DEVELOPMENT農村開発

課題認識

農村開発は多面的な課題が交錯するセクターです。地球規模の課題である気候変動・人口増加 、感染症まん延は、地域社会の経済・社会活動に大きなインパクトをもたらします。特に農業は、多くの途上国において主幹産業であり、その影響をもっとも受けやすく、国際社会、国、地域社会による多層的な対応が必要です。一方で、経済発展にともなう中間所得層の増加により、途上国の農業にはビジネスポテンシャルも生まれています。

IDCJの強み

IDCJはこれまで、農村開発分野において、政策立案からコミュニティ支援まで途上国のニーズに応える業務に携わってきました。上流から下流まで、特にソフト分野において、幅広いサービスを提供できることがIDCJの強みです。農業政策・計画立案、政策モニタリング、農業統計システムの構築、住民主導の農村開発、女性の経済的エンパワーメント・ジェンダー主流化、市場志向型農業振興(SHEP)、フードバリューチェーン(FVC)構築、日本の民間企業・地方自治体の途上国進出、COVID-19拡大や気候変動に対するレジリエンス強化など、多様なテーマで豊富な業務実績があります。また、グループ法人に「株式会社国際農業開発」を有し、農業分野の国際協力・国際交流に関する人材育成も視野に入れています。 

主な実績

タンザニア国「SHEPアプローチを活用した県農業開発計画実施能力強化プロジェクト」(JICA委託) 

タンザニアの農業は人口の7割が従事する基幹セクターですが、自給自足農業のため生産・収益性は低く、より商業的な農業への転換が必要となっています。2003 年に策定された「農業セクター開発プログラム(Agricultural Sector Development Programme(ASDP1)」ではASDP バスケット・ファンドを活用した包括的な農業開発が進められ、同ファンドの75%が、各県が策定する「県農業開発計画(District Agricultural Development Plan: DADP)」に沿って予算配分されてきました。JICA は技術協力プロジェクト「よりよい県農業開発計画作り支援プロジェクト(通称:RADAG1)」およびRADAG2 を通じて、県のDADP 策定・実施能力の向上を図り、中央政府の県に対する指導力強化・体制整備で一定の成果を上げましたが、2018 年に開始されたASDP2 では農業の商業化促進、小規模農家の収入向上が企図され、実際に農家の収益向上に資する質の高いDADP の計画・実施が求められています。

この取組を促進する上で参考となるのが、RADAG2 のパイロット県で実施したSmallholder Horticulture Empowerment Promotion (SHEP) アプローチを用いた市場ニーズに基づく生産・販売支援です。活動の結果として対象農家の収益が8 割向上したことから、タンザニア政府は実践的なDADP 実施の優良事例として高く評価し、他地域への活動拡大を目的とした本プロジェクトの実施をJICA に要請しました。 

農家による市場でのニーズ調査

アジア地域「ASEAN-JICAフードバリューチェーン開発支援に係る情報収集・確認調査」(JICA委託)

ASEAN地域では、経済成長にともなう各国中間層の増加がけん引する形で、近年、食の安全及び高付加価値食品への関心・ニーズが急速に高まっています。一方で、不適切な利益の再配分や脆弱なフードバリューチェーン(FVC)といった課題は解決されず、いまだ貧困ラインを下回る伝統的農家も存在しています。農業セクターは重要な雇用・収入の機会であり、食料安全保障と栄養確保の観点からもFVCのボトルネック解消への取組は優先すべき課題です。

このため、ASEANとJICAは「ASEAN-JICA フードバリューチェーン(FVC)プロジェクト」構想につき2018 年2 月より協議を開始しました。同プロジェクトでは、質が高く安全な輸出志向型のFVC 開発を支援するべく、民間とも連携した支援を検討しています。プロジェクトのコンセプトは、ASEAN+3の高級実務者会合において2018 年8 月にASEAN 加盟国からの賛同を得て、10 月の第18 回ASEAN+3農林大臣会合においても確認されました。 本調査はこの協力構想に基づき、円滑な案件形成・実施のために行う情報収集・確認調査です。具体的には、①ASEAN-GAP(生産工程管理)、➁SPS(動植物検疫)、➂広域食産業クラスター・バリューチェーンの形成、について必要な情報を収集し、課題の抽出を行っています。

その他実績

農業・農村開発

フードバリューチェーン

栄養改善

開発コンサルティング

株式会社 国際開発センター