ゴール15:陸の豊かさも守ろう

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、 砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

ゴール15では、森林を持続可能なレベルまで管理すること、土地や自然の生息地の劣化を阻み改善すること、砂漠化を防止し、生物多様性を確保すること等に重点が置かれている。これら全ての努力によって、陸域生態系の利益を次世代に受け継がせることが目指される。

人間の活動は森林や他の陸地の生態系に悪影響を及ぼすことがある。世界の陸地の三分の一は森林でおおわれているが、伐採や農地化等を通じて森林面積は縮小が続いている。とりわけ、中南米カリブ地域とサハラ以南アフリカ地域では、森林面積のうちそれぞれ9%、12%が喪失した。東アジア地域での植林の努力により、森林喪失のペースは落ちてきたが、それでも、2010年から2015年の間に世界で330万ヘクタールの森林が失われた。持続可能な森林経営を目指して、森林の伐採、加工、流通のプロセスを管理する各種の認証制度(FSC、CoC 認証など)が存在する。また、特にパーム油を生産するアブラヤシ・プランテーションを対象として森林の持続的管理を進める生産者を認証する制度(持続可能なパーム油利用(RSPO))もある。こうした認証制度を活用しつつ、森林を持続可能なレベルに維持することが求められる。

また、陸地の生物の多様性の維持も懸念されている。2015年の時点で23,000種の動植物が絶滅の危機に面している。鳥や哺乳類の絶滅危惧種は東南アジアに多くみられる。密林の農地化や木々の伐採が、絶滅に拍車をかけている。森林面積の縮小や動植物の絶滅の危機を抑制し、持続可能な開発に向けた生態系の基盤を作り上げてゆくことが必要である。

ゴール15は15.1から15.cまでの12個のターゲットから構成される。15.1、及び15.4では森林、湿地、山地等において生態系破壊を阻むことが目指される。さらに15.2と15.3では劣化した森林の回復や砂漠化の防止が課題として示される。15.5から15.8では、生物多様性を確保するため、絶滅危惧種の保護、密猟の撲滅、外来種侵入の防止などの取組みが求められる。15.aから15.cでは、こうしたターゲットを実現するための資金の確保や地域コミュニティの能力強化の必要性が示されている。なお特に資金面に関しては、森林減少、土壌劣化が進む途上国に先進国が資金支援を実施する枠組み(REDD+)が構築されている。

ゴール15のターゲット

15.1 陸域・内陸淡水生態系及びそのサービスの保全・回復・持続可能な利用を確保する
15.2 森林の持続可能な経営を実施し、森林の減少を阻止・回復と植林を増やす
15.3 砂漠化に対処し、劣化した土地と土壌を回復する
15.4 生物多様性を含む山地生態系を保全する
15.5 絶滅危惧種の保護と絶滅防止のための対策を講じる
15.6 遺伝資源の利用から生ずる利益の公正・衡平な配分と遺伝資源への適切なアクセスを推進する
15.7 保護対象動植物種の密漁・違法取引をなくし、違法な野生生物製品に対処する
15.8 外来種対策を導入し、生態系への影響を減らす
15.9 生態系と生物多様性の価値を国の計画等に組み込む
15.a 生物多様性と生態系の保全・利用のために資金を動員する
15.b 持続可能な森林経営のための資金の調達と資源を動員する
15.c 保護種の密漁・違法取引への対処を支援する

用語

持続可能な森林経営

森林破壊により失われる自然環境や地球温暖化への影響を受け、経済・社会・環境に配慮した持続可能な森林管理を理念とし、独立した非営利団体として国際的な森林認証制度を運営しています。生産段階のみならず、その森林に由来する木材の流通や加工のプロセスに関する基準を満たした木材製品(紙製品を含む)にロゴマークを付与し、流通させています。

CoC 認証

製品の加工・製造・流通のすべての段階において、認証製品が適切に管理され、非認証原料の混入やラベルの偽装がないことを認証する制度のことであり、木材、紙製品(FSC®/PEFC CoC認証)、水産製品(ASC/MSC CoC認証)等で実施されている。

持続可能なパーム油利用(RSPO)

パーム油を生産するアブラヤシ・プランテ ーションでは、農園開拓における熱帯林伐採による生態系や生物多様性の破壊への責任や保全の義務が問われ、また農園管理においての労働者・小規模農園との不公平な関係が指摘されていました。これに対し43 の基準が設定され、遵守している持続可能なパーム油生産者をRSPOが認証し、商品へのマークの掲載により消費者がこれら事業者を支援できる仕組みとなっています。

生態系破壊

生態系とは、ある一定の区域に生息する生物、およびこれらの生物を取り巻く大気、水、土壌等の自然環境が相互に作用するシステムのこと。生態系破壊とは、生態系システムが外的因子の影響を受けた結果、本来継続的に働くはずの自己調節機能が維持されなくなるか完全に消滅することである(多様性の棄損、もともと生息していた固有生物種の絶滅等)。主な外的要因には、外来種侵入のほか、大気汚染、水質汚染、土壌汚染等の人為的な環境破壊が挙げられる。

REDD+

森林減少、劣化が進む途上国において、GHG排出量を削減、または炭素蓄積量を維持・増加させる活動へのインセンティブとして先進国が経済的支援(資金支援等)を実施するもので、2013年のCOP19において枠組みが決定しました。これには、政府の制度づくり、森林のモニタリング、生物多様性・地域住民に対する配慮なども不可欠です。2020年以降のREDD+実施を目指し、各国の援助機関等が資金・技術面の詳細につき議論しています。

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