【News】ESRSにおけるインパクト重視の焦点を強化すべき
GRI公表:2025年9月25日
以下の内容は、オムニバス法案への対応として、EFRAGの公開協議(Public Consultation:2025年7月31日〜9月29日)にGRIが提出したコメント内容であり、IDCJによる仮訳・抜粋です。原文および詳細は、下部のGRI webページよりご確認ください。
GRI、改訂EU基準に対し懸念を表明―企業の報告負担増加と情報の比較可能性低下を懸念
GRIは、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)におけるインパクトの重要性を強化するようEFRAGに要請しました。これは、ステークホルダーが求めるインパクト、リスク、機会に関し一貫性のある、関連性の高い企業情報提供を確保するものです。
EFRAGによるESRS改訂案に対する公開協議への回答で、GRIは、簡素化方針を支持しつつも、報告の質を維持するための具体的な改善点を提示しました。現行草案においてインパクト開示の位置づけを弱めることは、GRIスタンダードなど国際的に広く採用されている基準との相互運用性を損ない、ダブルマテリアリティに基づく報告を維持するというEFRAGの使命にそぐわないと警鐘を鳴らしています。
GRIは、こうした不整合が企業に不要なコストをもたらし、投資家、市民社会、その他のステークホルダーに対して比較可能な情報の提供を妨げ、最終的には企業の競争力を損なう可能性があると強調しています。GRIが提出した意見書の中核には、以下の主要な提言が含まれています:
・インパクトのマテリアリティ定義をGRIスタンダードと整合させる:マテリアルな項目を「組織の最も著しいインパクト」と定義するGRIの概念を反映し、企業とステークホルダー双方の理解の不一致を解消する。
・グローバル基準との相互運用性を強化する:多様なステークホルダーによって検証されたGRIスタンダードとの整合性を確保することが、保持すべきインパクト関連データポイントの選定における基盤となる。
・ESRSの開示範囲縮小に対応し、GRIスタンダードを補完的に活用する:信頼性の高いインパクト開示の情報源として、GRI項目別スタンダードおよびセクター別スタンダードの参照を推奨。
・インパクト評価におけるネットベース・アプローチの導入を再考する:企業が緩和措置のみを強調することで、潜在的な害を曖昧にしてしまう懸念があり、報告の信頼性を損なう可能性がある。
この書簡には、GRI CEOのロビン・ホデス氏と、GRIグローバル・サステナビリティ・スタンダード・ボード(GSSB)議長のキャロル・アダムス氏が連名で署名しています。
「簡素化は、国際的に確立されたベストプラクティスから恩恵を受けるべきです。GRIスタンダードとの整合性を強化することで、EFRAGはその使命を果たし、EU企業にとって不要なコストと複雑さを削減できます。改訂されたESRSの下でも、EUのサステナビリティ報告がグローバルな報告基準を認識し、説明責任を強化し、企業とステークホルダーにとって意思決定に有用な情報を創出することが重要です。」
— ロビン・ホデス
「GRIスタンダードは、マルチステークホルダー・プロセスと科学的知見に基づいて開発されており、組織が自らの最も著しいインパクトを特定・開示するためのグローバルな基準点を提供します。ESRSをGRIスタンダードに明示的に連携させることは、報告組織が開示ギャップに対応するだけでなく、国境を越えた整合性と比較可能性を確保することにつながります。ESRSが投資家、政策立案者、市民社会を含むすべてのステークホルダーにとって有用なインパクト情報を提供するためには、この整合性が不可欠です。」— キャロル・アダムス
GRIが9月24日にEFRAGへ提出した文書には、パトリック・ド・カンブール氏(EFRAGサステナビリティ報告基準委員会委員長)宛ての書簡およびESRS協議質問票への詳細なフィードバックが含まれています。 GRIとEFRAGは2021年以降、覚書(MoU)に基づき協力関係を築いており、GRIはESRSの原案策定において技術支援を提供してきました。これにより、ESRSはGRIスタンダードとの高い相互運用性を達成しています。
詳しい内容および原文は、以下のGRI webページにてご確認ください。
GRI – Impact focus of the ESRS must be strengthened
掲載:2025年10月7日