GRIスタンダード改定案について

About GRI Standard Exposure Draft

2020年6月に草案が公開されたGRIの共通スタンダード(101、102、103)改定案について内容を解説します。「GRI共通スタンダード改定案解説資料_IDCJ」と共にご参照いただければ幸いです。

また、国際開発センターSDGs室では改定案の和訳(未公認仮訳)を作成いたしました。これもダウンロードいただけますので、改定案をご参照される際にご活用ください。

なお、この改訂案は、パブリックコメントを受けて、今後に内容が修正される可能性があります。現時点で確定したものではないことをご承知おきください。

GRI共通スタンダード改定案解説資料_IDCJ

GRI共通スタンダード改定案101_未公認仮訳

GRI共通スタンダード改定案102_未公認仮訳

GRI共通スタンダード改定案103_未公認仮訳

GRIスタンダードは2016年に公開され、その後、項目別スタンダードについては部分的に改定が進められてきました。2018年からGRI303(水と廃水)、GRI403(労働安全衛生)、GRI306(廃棄物)の改定が進められ、さらに2019年にはGRI207(税)が新たに作成されました。 

一方、GRIスタンダードを利用する上で基本となる共通スタンダード(101~103)については、これまで修正や加筆は行われておらず、今回が初めの改定になります。2020年6月11日に草案が公開され、パブリックコメントが募集されました。今後、2021年初頭には改定の最終版が発表される見込みです。共通スタンダードの改定に続き、新たにセクタースタンダードが設けられ、さらに従来の項目別スタンダードについても大幅な再編が予定されています。 

以下では2021年以降にGRIスタンダードがどのように変わるのか、共通スタンダード改訂案の内容を、下記の四つの視点からご説明します。 

1.構造上の変更 

2.利用上の変更 

3.原則・定義の変更 

4.開示事項の変更 

1.構造上の変更

第一は、GRIスタンダード体系自体の構造の変更です。現在の「共通スタンダード」は101「基礎」、102「一般開示事項」、103「マネジメント手法」の三部から構成されます。これが、101「GRIスタンダードの利用」、102「組織について」、103「マテリアルな項目」とそれぞれ名称が変わります。 

さらに、項目別スタンダードの構造も変わります。現在は200番シリーズ「経済」、300番シリーズ「環境」、400番シリーズ「社会」にわかれていますが、これが一体化します。現行の社会分野の項目は「人々(人権課題を含む)」としてまとめられます。 

また、新たにセクターごとの「セクタースタンダード」が登場します。GRIスタンダードの前身のGRIガイドライン(第四版)にはいくつかの「セクターディスクロジャー」が添付されていましたが、GRIスタンダードにセクターごとのスタンダードが設けられるのは初となります。当該セクターの企業が、マテリアリティを特定する上での手引きとして、これが利用されることが想定されています。2020年7月に第一号の「石油・ガス」のセクタースタンダード草案が公開されました。2020年末には第二号として「農業・水産業」が発表される予定です。 

2.利用上の変更

第二はGRIスタンダードの利用上の変更です。GRIスタンダードを利用する際には、その全体の要求事項を踏まえる「準拠」と、一部のみを利用する「参照」の二つの選択肢があります。改定後もこの二つの選択肢があることは変わりません。ただこれまで「準拠」の選択肢の中に、さらに「中核」と「包括」のオプションがありましたが、これが廃止されます。GRIスタンダードで求められる情報開示のうち、「中核」と「包括」では項目数が異なります。「中核」オプションを採用すれば、102「一般開示事項」でも、200~400番シリーズの項目別スタンダードでも、限られた項目のみを情報開示することで済みました。これまで「中核」オプションを採ってきた組織にとって、改定後は情報開示するべき項目が増えることが見込まれます。 

さらに、GRIスタダードを「参照」している組織にとっても、利用上の変更があります。改定案では「参照」する場合においても、「準拠」の場合と同じく「GRI内容索引(対照表)」の添付が求められます。「参照」する組織用向けに「GRI内容索引」のテンプレートが示されています。 

3.原則・定義の変更 

第三は報告原則と定義の変更です。現行のGRI101「基礎」では、10個の報告原則が示されています。報告内容に関する原則が4個、報告品質に関する原則が6個あります。これが改定案の101では8個に減ります。除外されるのは「ステークホルダーの包摂」と「マテリアリティ」の二つの原則で、それぞれ改定案では103の中に移行します。マテリアリティや、ステークホルダーに関するテーマは、全て103「マテリアルな項目」の中でまとめて説明されることになります。 

さらに、「マテリアリティ」と「ステークホルダー」自体の定義も変わります。現行では「マテリアリティ」とは、「組織が経済、環境、社会に与えるインパクトを反映している項目」または、「ステークホルダーの評価や意思決定に対して実質的な影響を及ぼす項目」と定義されています。改定案では後者が削除されます。また「ステークホルダー」についても、現行では「組織の活動等から著しい影響を受ける人々」、もしくは反対に「組織の戦略や能力等に影響を与える人々」として定義されています。改定案では、後者が削除されます。削除の理由は、「責任ある企業行動のための OECDデュー・ディリジェンス・ ガイダンス(2019年)」における定義に合わせたためと説明されています。 

4.開示事項の変更

第四は、GRI102とGRI103における開示事項の変更です。現行のGRI102では、「組織のプロフィール」、「戦略」、「倫理と誠実性」、「ガバナンス」、「ステークホルダー・エンゲージメント」、「報告実務」の六つの開示事項が示されています。改定案ではこれが「組織の詳細と報告実務」、「組織の活動」、「ガバナンス」、「責任ある企業行動」、「ステークホルダー・エンゲージメント」という構成に変わります。内容は共通している部分が多いです。「責任ある企業行動」については新しく設けられたセクションですが、現行の「戦略」や「倫理と誠実性」に関する開示事項がここで整理されています。 

ここで一つ留意すべきは、現行のGRI307「環境コンプライアンス」と、GRI419「社会経済面のコンプライアンス」における開示事項が、改定案ではGRI102に移行することです。現在は、コンプライアンスに関する情報は、項目別スタンダードの一部であるため、組織がこれをマテリアルと特定しなければ開示義務がありません。しかし、改定案が有効になった後は、全組織がこれについて情報開示する必要があります。 

GRI103についても、開示事項に変更があります。現行ではマテリアルな項目に関する情報は102と103に分かれていましたが、改定案では103「マテリアルな項目」に集約されます。マテリアルな項目をどう特定したか、経済、環境と人々へのインパクトは何か、インパクトをどうマネジメントするかといった項目が、ここで情報開示されることが求められます。 

なお、GRI共通スタンダード改定案に関するGRI本部の解説資料等(英語)は全て下記サイトからダウンロードできます。「Exposure draft(改定草案)」、「Explanatory memorandum(解説書)」、「Mapping document (開示事項の新旧対照表)」など役に立つ情報が掲載されていますので、こちらもご参照ください。 

REVIEW OF GRI’S UNIVERSAL STANDARDS(GRI 101,102 AND 103)

SDGsに関するビジネス・レポーティング ゴールとターゲット分析 無料ダウンロード
メールマガジン
よくあるご質問
メールでのお問い合わせ
03-6718-5932
[ 受付/平日10:00〜17:00 ]
ページの先頭へ